本稿では物流に携わる職種の中核であるトラックドライバーに着目し、健康づくりの意義を論じました。トラックドライバーが属する道路貨物運送事業と陸上貨物取扱業では労働災害が多いことが知られており、業態に特徴的な環境、疾患があることも報告されています。トラックドライバーの健康を支える仕組みとして、労働安全衛生、医療保険者による取組み、健康経営があり、事業主を含めた連携が必要ですが、現状では事業所の多くが小規模であり多数あること、働き方に特徴があることなどの要因により十分に対応できていません。既存の制度を機能させるためには、阻害要因を明らかにする研究が重要であることを述べています。